インプラント治療の失敗治療例、トラブル治療例
インプラント治療の実際の失敗治療例、トラブル治療例についての解説です。
インプラントトラブル(失敗)の治療例 (48歳女性)
インプラントトラブル失敗の治療前1
インプラントトラブル(失敗)の治療前

他の歯科医院で、上の左右の奥歯にインプラントを1年前に入れた方です。インプラントの被せ物を入れた直後から、食べ物が良く噛めず、そのうち向かって左側の4本のインプラントを使ったブリッジが緩んできてしまいました。 インプラントを入れた医院で緩んだブリッジを付け直すのですが、何度付け直しても食べ物が良く噛めず、またすぐに緩んでしまうような状態でした。

また、向かって右側の2本のインプラントに隣り合っている天然の歯が常に腫れている状態とのことでした。

レントゲンなどで診査をした結果、インプラント治療がうまくいっていない下記のような様々な原因がわかりました。

インプラントで良く噛めない理由は、全体の治療計画をたてずに、インプラント部分だけを作ったために、すべての歯の噛み合せの高さが本来の噛み合せの高さよりも低くなってしまっていたのが原因でした。

また、インプラントブリッジが緩むのは、噛み合せの関係で、インプラントブリッジに過度の噛み合せの力が掛かることが原因でした。

右側の天然の歯が腫れているのは、レントゲン診査をした結果、インプラントを骨に埋め込む位置と方向が悪く、天然の歯の根までインプラントの一部が達してしまっていて、天然の歯の根を傷つけてしまったのが原因でした。

インプラントトラブル失敗の治療後1
インプラントトラブル(失敗)の治療後

右の写真は治療後の状態です。 噛み合せの高さを高くするために、インプラント部分だけでなく、従来からあった差し歯などすべての被せ物を作り直し、噛み合せの高さを高くしました。

インプラントで根が傷ついてしまった天然の歯は残念ながら抜歯しましたが、噛み合せの高さと歯並びを理想的な形にしましたので、バランスが良くなり、なんでも噛めるようになりました。

作り直した左側のインプラントブリッジは、全体の噛み合せのバランスが良くなったので、以前のような過度の噛み合せの力が掛かることがなくなり、緩むこともなくなりました。

インプラントトラブル(失敗)の治療例 (43歳男性)
インプラントトラブル失敗の治療(正面)
インプラントトラブル(失敗)の治療前

他の歯科医院で上顎の前歯を抜歯して、インプラントを入れた方です。インプラントの被せ物を入れた直後から揺れて噛めないとの事でいらっしゃいました。

また、インプラントの被せ物を入れる時に、インプラントのネジが歯茎から露出してしまっていて、ネジを隠すために、被せ物に入れ歯の歯茎を作る時に使う赤いプラスチックが付いていて、見栄えが悪く 、気になるとのことでした。

いらした時には、揺れたインプラントの被せ物を固定するために、インプラントの被せ物が応急処置的に左右の差し歯に接着材でつないでありました。

インプラントトラブル失敗の治療(レントゲン)2
インプラントトラブル(失敗)の治療前
(レントゲン画像)

写真は、前歯のインプラントのレントゲン写真です。

抜歯してから骨が出来るのを待たずに、そのままインプラントを埋め込んだので、骨の量があまり無いようで、インプラントが一般的な埋め込み位置よりもだいぶ深く埋め込んでありました。

写真の上の太い灰色の部分が埋め込んだインプラントです。その下の白い太い部分はインプラントの被せ物の部分ですが、両隣の差し歯と比べると、歯の根の先よりもだいぶ上の方にインプラントが埋まっているのが確認できます。

インプラントトラブル失敗の治療(CT)2
インプラントトラブル(失敗)の治療前
(CT画像)

次の写真は、インプラントのCTスキャン像です。

薄い骨(灰色の網状の像)の間にインプラントが埋め込まれているのがわかりますが、インプラントのネジ部分の下2/3の周りには、骨がほとんどありません。

また、インプラントの埋め込み方向に無理があるため、インプラント本体とインプラントの被せ物の取り付け角度が極端に曲がっているのが確認できます。(理想は歯と同じように一直線です)

結局、インプラントの被せ物を外してみると、インプラントは、骨と全く固定(癒着)しておらず、インプラントが簡単に抜け落ちてしまいました。

その後、両側が差し歯だったこともあり、歯茎の治りを待って通常のブリッジを作りました。

インプラントトラブル(失敗)の治療例 (51歳女性)
インプラントトラブル失敗治療例レントゲン3
インプラントトラブル失敗の治療前

他の歯科医院で1年前に上顎の奥歯にインプラントを2本いれた方ですが、インプラントの周りが腫れて痛いとのことで、いらっしゃいました。

レントゲン診査の結果、2本のインプラントは、非常に近い位置に埋め込まれていて、周りの骨が溶けて(吸収して)いることがわかりました。

原因としては、骨の少ない場所に2本のインプラントを埋め込んだことと、2本のインプラントが近すぎて、間の骨に血液が十分供給されなかった可能性が考えられました。

インプラントトラブル失敗治療例CT3-1
インプラントトラブル失敗の治療前
(CT画像)

写真は、右側のインプラントのCTスキャン像です。

薄い骨(灰色の網状の像)の間にインプラントが埋め込まれているのがわかりますが、インプラントの周りには、骨がほとんどありません。

また、 インプラントの埋め込み方向に無理があるため、インプラント本体とインプラントの被せ物の取り付け角度が極端に曲がっているのが確認できます。

インプラントトラブル失敗治療例CT3-2
インプラントトラブル失敗の治療前
(CT画像)

次の写真は、左側のインプラントのCTスキャン像です。

こちらのインプラントの上半分には、骨がありますが、やはり下半分には骨がほとんどありません。しかし、上半分の骨の固定(癒着)状態はあまり良いとは言えません。

ただ、右側のインプラントよりは、埋め込み角度が良かったのか、インプラント本体とインプラントの被せ物の取り付け角度は、直線に近くなっています。

結局、この方の場合、インプラントの両隣の歯が被せ物だったこともあり、インプラントを除去して歯茎の治りを待ってから通常のブリッジを作りました。

インプラントトラブル(失敗)の治療例 (63歳女性)
インプラントトラブル失敗治療例レントゲン4-1
インプラントトラブル失敗の治療例

他の歯科医院で3年前に右下顎の奥歯にインプラントを2本入れて、インプラントブリッジを作った方です。 インプラントブリッジを入れて2年経った時に、2本の内の後ろのインプラントがグラグラし始めて、抜けてしまいました。

そこで、新たにインプラントを埋め込んで、またインプラントブリッジを作る計画を立てたのですが、新しく埋め込んだインプラントがいくら待っても骨と固定(癒着)せず、結局2回埋め込み手術をやり直しました。

埋め込み手術と骨への固定を1年間続けたので、1年間右側が噛めず、左で噛むことをずっと続けていたら、左前歯の負担が増えて、そこもグラグラし始めて、全体の噛み合わせが狂って、顎まで調子が悪くなってしまっていました。

インプラントトラブル失敗治療例レントゲン4-2
インプラントトラブル失敗の治療例

右の写真はインプラント部分の拡大レントゲン写真です。 右側が、何度も埋め込み手術をやり直したインプラントです。この状態で埋め込み手術から4ヶ月が経っていますが、ネジの下1/4程度しか、骨に埋まっていないのがわかります。

実際のお口の中でも、触るとグラグラ揺れて、インプラントが骨と全く固定(癒着)していないことが確認されました。

この方の場合には、最初のインプラントブリッジから2年間という短期間でインプラントが抜けてしまったことを考えると、最初の段階から骨の量が元々足りないところへのインプラントの埋め込みの可能性が高いと思われました。

ですので、元々骨が無いところへ、何度、再手術をしてインプラントを埋め込んでも、骨に固定しなかったのです。

結局、この方の場合には、右側のインプラントは除去して、左のみに1本のインプラントの被せ物を被せることにしました。

また、噛み合わせのバランスの悪さから歯周病のような状態になってしまった左側の前歯と奥歯についても、ブリッジ式の差し歯を行うことによって、全体の噛み合わせ関係を改善することができました。

インプラントトラブル(失敗)の治療例 (57歳男性)
インプラントトラブル失敗治療例レントゲン5
インプラントトラブル失敗の治療前

他の歯科医院で2年前に上顎の奥歯にインプラントを2本いれた方です。 半年前からずっとインプラントの周りが腫れて、いらっしゃいました。

レントゲン診査の結果、2本のインプラントの周りの骨が半分程度溶けて(吸収して)いるのがわかりました。

また、この方のインプラントの被せ物は、基本的にインプラントの被せ物では行ってはいけない天然の歯と繋いだ状態で被せ物が作られていました。

天然の歯とインプラントを繋いではいけない理由は、天然の歯とインプラントでは、骨に埋まっている状態が根本的に違うことが理由です。

骨の中にしっかり埋まっているように見える天然の歯は、実は歯根膜という細かい繊維で骨と繋がっています。それに対してインプラントは、骨に完全に固定(癒着)することによって、骨と繋がっています。歯根膜は繊維の集まりなので、噛んだ時に延び縮みして、歯がわからない程度に動いているのです。

歯と歯周組織の構造 インプラントのトラブルや失敗の治療法,歯と歯周組織の構造詳細

骨の中で動く天然の歯と、動かないインプラントを繋いでしまった場合、天然の歯の動きがインプラントに伝わり、インプラントの周りの骨が溶けて(吸収して)しまうのです。

この方のインプラントの被せ物は周りの3本の天然の歯と繋いだ5本繋ぎの被せ物でした。

この場合、噛むたびに、インプラントを中心にして、5本繋ぎの被せ物がシーソーのように動き、インプラントの骨を溶かして(吸収して)しまった可能性が考えられました。

インプラントトラブル失敗治療例CT5-1
インプラントトラブル失敗の治療前
(CT画像)

写真は、左側のインプラントのCTスキャン像です。

薄い骨(灰色の網状の像)の間にインプラントが埋め込まれているのがわかりますが、骨がある方向とインプラントの埋め込み方向が少しずれているのがわかります。

それにより、インプラントの左側には、骨がほとんどありません。

おそらくインプラント手術の際に、インプラントの埋め込み方向でなんらかの問題があった可能性が高いと考えられます。

インプラントトラブル失敗治療例CT5-2
インプラントトラブル失敗の治療前
(CT画像)

次の写真は、右側のインプラントのCTスキャン像です。

こちらのインプラントも、骨がある方向とインプラントの埋め込み方向が少しずれているのがわかります。

またインプラントの上の部分に骨が無くなっている部分があるのも確認できます。

この方の場合、インプラント除去をすると、骨を大きく失う可能性が高く、再度の部分的なインプラントは難しかったことと、患者さんが入れ歯を避けたいとの要望が強かったことから、短期間で噛めるインプラント治療、お口を全体的に再治療をしました。

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