誤嚥性肺炎(誤えん性肺炎)
誤嚥性肺炎(誤えん性肺炎)とは
誤嚥性肺炎/誤えん性肺炎図

誤嚥性肺炎とは、本来食道に流れるはずの食べ物や唾液などの液体が誤って肺に流れてしまい、これが原因で起きる肺炎のことです。

人間ののどの奥には、食道と気管を分岐している場所がありますが、この分岐点には気管のふたがあり、食べ物や液体が気管に入らない働きをしています。

誤嚥性肺炎は、病気や加齢などによって、この働きが弱ってしまい、食べ物や唾液などの液体が誤って気管へ入ることで、お口の中の細菌もいっしょに肺に入って起こる肺炎です。

誤嚥性肺炎(誤えん性肺炎)が起こるしくみ
誤嚥性肺炎/誤えん性肺炎呼吸

通常、呼吸をしている時は、空気は鼻もしくは口から気管を通って肺に入ります。この時、のどの奥にある食道と気管を分岐している場所にある喉頭蓋(こうとうがい)と呼ばれる気管のふたは開いています。

誤嚥性肺炎/誤えん性肺炎飲食

この喉頭蓋は、食べ物を食べると閉じて気管にふたをし、同時に食道が開いて食べ物が気管へ行かないようになっています。

誤嚥性肺炎/誤えん性肺炎誤嚥

ところが、この喉頭蓋は舌やその周辺の筋力が弱まったり、加齢や病気で神経の反応が鈍くなると、ふたをする働きが鈍くなり、食べ物や唾液が気管から肺に入ってしまう誤嚥が起こります。

誤嚥性肺炎/誤えん性肺炎発症

そして食べ物や唾液といっしょに口の中の雑菌が肺に入ってしまい、肺で炎症が起きると誤嚥性肺炎として発症します。

入れ歯で誤嚥性肺炎(誤えん性肺炎)の確率が高まる
誤嚥性肺炎/誤えん性肺炎入れ歯

入れ歯使用者の方は、誤嚥性肺炎の確率が高くなると言われています。

というのも、一般的に入れ歯には想像以上に細菌が多く付着しているのですが、この細菌には入れ歯洗浄剤など化学的な消毒剤に対してバイオフィルムと呼ばれる防御機能があるからなのです。

バイオフィルムは細菌自体が出す物質ですが、何層にも重なっているため、入れ歯洗浄剤だけですべてのバイオフィルムを破壊して、細菌を殺菌するのは困難です。

バイオフィルム バイオフィルム詳細

誤嚥性肺炎(誤えん性肺炎)予防の3つの因子
誤嚥性肺炎/誤えん性肺炎3因子

誤嚥性肺炎の最も多いきっかけは、脳卒中などの病気で神経の反応が鈍り、喉頭蓋の働きが鈍くなることですが、病気でない方でも注意が必要です。

というのも、自分では気が付かないうちに、喉頭蓋の働きが鈍くなっている場合があるのですが、物を食べる、飲み込むという行為は、日常的な動作なので、衰えに気が付きにくいからです。

病気以外での誤嚥性肺炎の主な原因は、口の中の細菌が増えること、舌やその周辺の筋力が衰えること、そして細菌に対する体の免疫力が低下することの3つの要因によって起こります。

したがって誤嚥性肺炎の予防は、口腔ケアによる口の中の細菌の除去、舌や口の周りの筋力回復、そして全身の免疫力の向上を行うことが有効です。

誤嚥性肺炎(誤えん性肺炎)の予防その1:口腔ケア

誤嚥性肺炎は、お口の中の細菌が肺に入って起こりますので、お口の中の細菌が少なければ、たとえ誤嚥をしたとしても、肺炎の発症を防げる可能性が高くなります。

誤嚥性肺炎/誤えん性肺炎発症率

実際に、口腔ケアを実施した人のグループと実施しなかった人のグループを比較した研究では、2年間の肺炎発生率で2倍近くの差が出ました。

誤嚥性肺炎/誤えん性肺炎生菌数

また口腔ケアを実施した人のグループと実施しなかった人のグループで、のどの細菌数を比較した研究では、実施した人のグループは、5か月後に細菌数が実施しなかった人のグループの1/10になりました。

口腔ケアの新しい形 次亜塩素酸電解除菌水
次亜塩素酸電解除菌水

次亜塩素酸電解除菌水は、口の中の虫歯菌や歯槽膿漏、歯周病菌を、毎日20秒間うがいすることにより、ほぼ完全に除菌(溶菌※)することが出来、歯垢(プラーク)も分解除菌洗浄する口腔洗口液です。

※溶菌とは歯周病菌や虫歯菌を破裂させて溶かすことです。

強い除菌力に反して、体への影響はほとんどなく、口腔ケアの新しい方法として、今注目されています。

また、市販のマウスウオッシュなどの洗口剤や入れ歯洗浄剤などでは完全に除菌出来なかったバイオフィルムの中の細菌も、バイオフィルムを破壊することが出来ることから、ほぼ完全な除菌が可能です。

誤嚥性肺炎(誤えん性肺炎)の予防その2:筋力回復
誤嚥性肺炎/誤えん性肺炎舌筋

元々、気管のふたの喉頭蓋には筋肉がほどんどなく、筋肉の塊である舌に押されることで、開いたり閉まったりしています。

誤嚥性肺炎を引き起こす誤嚥は、舌の筋力が弱ることで喉頭蓋の開閉がうまく出来なくなることが一因で起こりますので、舌の筋力を回復することが、誤嚥性肺炎の予防につながります。

特に病気でもないのに、近頃、食べ物を飲み込む時にむせることが多くなったと感じる方は、 舌の筋力が弱くなっている可能性もあり、注意が必要です。

舌の筋力を回復するには、様々な口腔体操が効果的で、半年間で舌の筋力が平均30%も増したという研究報告もあります。

お口の筋力アップ 口腔体操

お口の周りの筋力を高める口腔体操は、食べ物や唾液をしっかりと食道に送り込むことができるようになる効果があり、結果的に誤嚥性肺炎の予防効果があります。

口腔体操は、毎回の食事の前に5~10分程度行うと効果的です。

●パタカラ体操 『パタカラ、パタカラ、パタカラ。。。』 と 『パ タ カ ラ』 を出来るだけ早くはっきりと発音することで、舌や唇のスピードや、巧みさを養います。 『パタカラ』以外の好きな早口言葉で行っても効果があります。

●舌体操 舌を前後、左右、上下に動かすことで舌の力や、動く範囲を向上させる訓練です。少しきつく感じる程度がちょうどよく、慣れてきたら早く動かすと、より効果的です。

誤嚥性肺炎(誤えん性肺炎)の予防その3:免疫力向上

すべての病気がそうであるように、体の免疫力が上がっている時には、たとえ病原菌が多少体の中に入ってきても、免疫力によって病気は発症しません。

ですから、誤嚥性肺炎も体の免疫力を高めておけば、たとえ誤嚥をしても、肺炎を発症する確立は低くなります。

また最近では、歯科治療でもお口の中だけの治療ではなく、体の免疫力を高めて、歯周病や口臭などの改善、虫歯などを予防する体質改善による歯科治療という治療が行われ始めていて、効果が出てきています。

免疫力を高める免疫療法には、免疫細胞療法、温熱療法、食事療法、プロバイオティクス(口腔内科)、サプリメント療法などがありますが、このうち、ご自宅で比較的簡単に行えるのが、プロバイオティクス(口腔内科)とサプリメント療法です。

体質改善による誤嚥性肺炎予防 体質改善による誤嚥性肺炎予防詳細

プロバイオティクス(口腔内科)による免疫力向上
誤嚥性肺炎/誤えん性肺炎乳酸菌-1
悪玉菌が増える

プロバイオティクスとは、抗生物質(アンティバイオティクス)に対比する言葉で、抗生物質のように有害な菌と同時に有益な菌も殺すのではなく、元々体内にいる有益な菌を増やして健康を守ろうというものです。

健康な時には、細菌は一定のバランスを保っていますが、バランスが崩れると悪玉菌が増え、善玉菌が減ります。

誤嚥性肺炎/誤えん性肺炎乳酸菌-2
菌のバランスが保たれている状態

プロバイオティクスは善玉菌を増やして、善玉菌と悪玉菌のバランスを整え、元の正常なバランスに戻す働きをします。

免疫力を向上させる乳酸菌サプリメント『アルベックス』

乳酸菌生成エキス『アルベックス』は、他の乳酸菌サプリメントと違い、元々、自分の腸内にすんでいる【自分の乳酸菌】を増やす効果がある乳酸菌サプリメントです。

また『アルベックス』には、全身の免疫バランスを整える効果もあるため、全身の免疫力を上げる効果も期待できます。

乳酸菌生成エキス『アルベックス』 乳酸菌生成エキス『アルベックス』プロバイオティクス誤嚥性肺炎予防

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