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ファイバーコア(樹脂の歯の土台,心棒)
ファイバーコア(樹脂の歯の土台)について
神経を抜いた歯は、歯自体が死んでしまいますので、神経のある歯よりも、もろくなります。一般的には、金属などの土台を、神経を抜いた後の根管に立て、その上から被せ物をします。 ファイバーコアは、金属の変わりにファイバー樹脂で作られた土台で、金属の土台に比べて、いろいろな利点があります。
ファイバーコア(樹脂の歯の土台)の特徴
ファイバーコアは、一般的に使用されている金属の土台に比べて、いろいろな利点があります。 ●ファイバーコアは歯質と化学的に接着する 金属の土台も接着剤で歯と接着しますが、金属の土台、接着剤、歯の3者は実は完全には一体にはならず、お互いの細かい溝などに接着剤が入り込み、抑えている状態です。(機械的接着) この状態だと、接着剤が何らかの原因で流れてしまうと、金属の土台と歯の間に隙間が生じ、そこから虫歯になったり、歯の根が割れる原因になります。 ファイバーコアは、歯質とより近い性質の土台なので、ファイバー樹脂の土台、接着剤、歯の3者が金属の土台を使用したときと比較して一体化しやすいのが特徴です。(化学的接着) ●ファイバーコアは歯の根の割れの原因になりにくい 歯の根が割れる原因は、金属の心棒が接着剤と離れて、クサビの役割をしてしまい、歯の根に負担をかけることで根が割れることが多いのですが、ファイバー樹脂の土台は歯の根と一体化しやすいので、歯の根が割れる原因になりにくいです。 ●ファイバーコアは腐食しない 金属の土台は、合金中に銀が含まれていますので、唾液により腐食することがあります。ファイバー樹脂の土台はファイバー樹脂だけで出来ているので、腐食しません。 ●ファイバーコアは銀イオンが出ない 金属の土台は、合金中の銀が、長い間に銀イオンとして、歯質に出てきますので、歯の根の色が変わることがあります。ファイバー樹脂の土台は銀イオンは出ませんので、歯の根の色が変わりにくくなります。 ●ファイバーコアは歯と同程度の弾性がある 金属の土台は、ほとんど弾性がなく、これも歯の根が割れる原因になっていますが、ファイバー樹脂の土台は歯と同程度の弾性があるため、歯の根の割れの原因になりにくいです。
ファイバーコアの治療例(割れた歯根)
![]() ファイバーコア治療前
他の歯科医院で『根が割れているので抜歯してインプラントかブリッジになる』と言われ、セカンドオピニオンを求めていらした方です。 レントゲンでも割れたところが見えていたのですが、金属の土台を取って見ると、根の割れた線がはっきり見えました。 ただ、根の割れた範囲が根の先までは行っていなかったので、ファイバー樹脂の土台をいれ、割れがこれ以上開かないようにすることにしました。また、クラウンレングスニングという歯茎の処置をして、根が割れたところまで歯茎を下げ、割れたところ全体を外側から、被せ物で囲むことにしました。加えて、歯の根自体が弱くなっていましたので、右隣の白い被せ物をはずして、2本繋ぎの被せ物をつくり、固定することにしました。 ![]() ファイバーコアを入れたところ(上)
右の写真は、クラウンレングスニングを終えてファイバー樹脂の土台をつけた状態です。 また、右隣の白い被せ物は外してあります。右隣の歯も神経はすでに無く、一般的な金属の土台が入れてありました。 ![]() ファイバーコア治療後(下)
治療後の状態です。右隣の歯と共に2本繋ぎの被せ物をつくり、固定し たことによって、結果的に抜歯せずに歯を残せました。 |
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