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歯の根の治療(根管治療)は、歯科ではよく行われる一般的な処置ですが、実は最も難しい処置の一つです。 その理由は、歯の根の中は細く複雑で、肉眼では見えにくいため、一般的な歯の根の治療(根管治療)は、実はレントゲンと計測機械をたよりに、手探りで行われているからです。 歯の根の治療がうまく行かないと、後日痛みが出たり、根の先に病気が出来て、最悪の場合には、歯を失う原因にもなります。 そこで近年、歯の根の中を直視できる実体顕微鏡を使った歯の根の専門医(根管治療専門医)による歯の根の治療が行われるようになってきました。 歯の根の根管治療専門医による治療(顕微鏡を使った根管治療)では、従来行われていたように、手探り状態での歯の根の治療ではなく、顕微鏡で直接歯の根の中を見ながら治療が行われますので、いろいろな利点があります。 ●今まで取り残していた神経の残りかすを完全にきれいにすることが出来ます。 神経の残りかすは、腐って根の病気の原因になることが多いのですが、通常の歯の根の治療では、完全な除去は難しい場合が多くありました。歯の根の根管治療専門医による治療(顕微鏡を使った根管治療)では、直接歯の根の中を見られますので、神経の残りかすを完全に除去することが可能です。 ●折れて歯の根の中に残ってしまった治療器具なども、除去出来ます。 歯の根の治療は、リーマーと呼ばれる細い針のような器具を使って治療をしますが、歯の根が細く、器具も折れることがあるので、器具の一部が根の中で折れて、取れなくなってしまうことがあります。 通常の治療では、そのまま治療を終わらせるしかありませんでしたが、歯の根の根管治療専門医による治療(顕微鏡を使った根管治療)では、折れて歯の根の中に残ってしまった治療器具なども、状態によって除去出来ることがあります。(下記治療例1参照) 注:折れた場所や状態により、取れない場合もあります。 ●歯の根に穴が開いてしまったところも、塞ぐことが出来ます。 通常の歯の根の治療では、手探り状態で治療を行っていますので、過って治療器具で歯の根に穴が開いてしまうことがあります。 通常の治療では、そのまま治療を終わらせるしかありませんでしたが、歯の根の根管治療専門医による治療(顕微鏡を使った根管治療)では、歯の根に穴が開いてしまったところも、穴の位置や大きさによって、塞ぐことが出来ることがあります。 注:穴の位置や大きさによって、塞ぐことが出来ない場合もあります。 根管治療前
いままで同じ歯の根の治療を複数の歯科医院で繰り返してきた方です。いろいろな歯科医院で何回も根の再治療を繰り返しましたが、症状が緩和せず、ついに現在通院中の歯科医院の先生に、『後は抜歯してインプラントにするしかない』 と言われて、セカンドオピニオンを求めて来院されました。 歯科用CTスキャンでのレントゲン診査の結果、奥歯の根が曲がっていて完全な歯の根の治療が出来ずに終わってしまっていました。 根の中の完全な掃除と消毒が出来ていないのが原因と考えられる病気が両方の根の先に出来ています。 顕微鏡で見た根管
顕微鏡下であれば、完全な歯の根の治療が出来そうだったので、歯の根の治療専門医(根管治療専門医)に治療を依頼しました。 右は、顕微鏡下での歯の根の写真です。直視で治療するので、細かいところまで治療が可能です。 根管治療完了後
顕微鏡下で歯の根の中を完全にきれいにして、最終的な薬を詰めた状態です。少々わかりづらいですが、歯の根の先の病気も、すでに殆ど無くなっています。 この後、ファイバー樹脂の心棒を入れ、被せ物を被せて、結果的に抜歯しないで歯が残せました。 |
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